2007年07月31日

【訳】ヘッジファンドのストラテジー No.2

3.ロングとショート
この種のストラテジーは、マーケットや企業に対する予測・観点により、証券を買うまたは売ることを指す。通常、ヘッジファンドはレバレッジをかけて、彼らが思っている潜在的な利益を最大化する行動を取る。
3.1.空売り
将来の株価が下落すると予測する際、空売りにより利益が得られる。ヘッジファンドはこの手法を利用して、株を借入れて、マーケットで空売りする。株価が下落したら、下落した値段で空売りした株を買い戻して、株を返済する。それで、利益を得る。
3.2.ロング
ロングは、単なる普通の証券投資の拡張である。株や債券などのアセットを保持して、これらのアセットの値上がりによって、利益を得る。主な違いは、ヘッジファンドはレバレッジを使って、利益の最大化を図る。
3.3.成長ファンド
このストラテジーは、成長性の高い株・ベンチャーへ投資する。ただし、多くの場合、ポートフォリオはショート(逆)ポジションやオプションによってヘッジされている。

4.全体的マクロ経済
マクロ経済ベースのストラテジーである。ヘッジファンドは、このストラテジーの中、全体的なマクロ経済のトレンドを予測し、インフラ、金利や通貨レートなどのマクロ経済要因を分析し、利益を求める。金利デリバティブ、通貨デリバティブも使われる。

2007年07月26日

VaR(Value-at-Risk)の定義

フィナンシャルなリスク・マネジメント領域に、VaR(Value-at-Risk)はかなり基本なRisk Measureである。
簡単な不確実性と統計的な考え方を用いて、VaRが出てきたと思う。
分かりやすいといえば、分かりやすい概念である。
大学の講義の発表で、簡単にまとめていた資料を見つかった。
意外に分かりやすくまとめた。
KXしよう。
VaRの定義

2007年07月17日

【訳】ヘッジファンドのストラテジー No.1

偶然、ネットで見つかった資料だが、興味のある分野で、早速読んでみた。
なかなか面白そうで、訳して、Knowledge eXchangeしよう。

1.マーケット・ニュートラル・ストラテジー
ロング・ポジションとショット・ポジションを同時に取り、リターンに対するリスク・エクスポージャーを最小化することで、マーケット・ニュートラル・ストラテジーと呼ばれる。

1.1.ロングーショート
不確実性の中、ロング・ポジションとショート・ポジションをともに取ることで、マーケット・リスクを減らすことが期待されている。過小評価された資産をロングし、過大評価された資産をショットする。マーケットが上昇する場合、過小評価された資産の上昇率が過大評価された資産のより大きくて、過小評価資産の上昇によるゲインは、過大評価資産の上昇によるロスを上回り、最終的に、ポジティブなスプレッドが得られることを期待されている。逆も同様。

1.2.可転換アービトラージ
転換社債など、可転換な証券を用いて、可転換証券と原資産の価格差により、利益を生み出す戦略である。
例えば、可転換証券をロングし、原資産をショートするポジションで、利益を得ることは可転換アービトラージである。

2.イベント駆動型・特殊状況ストラテジー
会社の特殊なイベントに目当て、方向性を重視し、将来の巨大な資産変化を狙うストラテジーである。
通常、再建やM&Aは、イベント駆動型ファンドの主とする戦略である。

2.1.出血証券(Distressed Securities)
出血証券に投資するのが一つの例である。倒産寸前の会社に安いお金で投資し、危機を脱出させて、大きいな資産価値増を狙う。こういう場合、ヘッジファンドは往々会社の再建プロセスに直接マネジメントし、ベンチャー・キャピタル、またはハゲタカファンドのようなやり方で、利益を追求する。

2.2.合併アービトラージ
潜在的な買収・被買収企業を分析し、被買収対象企業の株を買い、買収を行う企業の株をショートする。買収が発生することを予測して、ポジションを立てるストラテジーである。

まだ途中ですが、すぐ続きを読みたい場合は:
Global-Derivatives.com

2007年07月10日

Black-Scholes Formula

最近、仕事は超忙しくて、頭の中で仕事のことばかり。
今日は気分転換で、昔大学で学んだことをちょっと整理しようと思う。
ノートを見ると、自分は結構Black-Scholesと闘ってきた。
まぁ、Financial Engineeringを勉強してきた人間は、その位はするだろう。。。
Black-ScholesはFischer BlackとMyron Scholesが1973年に「The Pricing of Options and Corporate Liabilities」という論文で発表したオプションの理論価格評価式です。
Non-ArbitrageというClassicalなFinanceの考え方から出発して、PDEを解くことで、
Risk free interest rate, Maturity, Strike price, Underlying asset's VolatilityとOption Priceの間の関係を導き出した。
この有名なFormulaは、それ以降のFinancial Engineeringの研究に非常に大きいな影響をしてきた。
話題のDerivative pricing, Real options, ... ... どっちもなんとなくBlack-Scholes Approachを利用している。

偶然、My Documentの中に、以前Risk Managementの講義で書いたReportを見つかった。
なるほど、僕もこのFormulaを自分なりに導いていたね。

Risk Management Report1 (Black-Scholes Formula)

2007年05月31日

中国株式市場バブル期について

最近、中国の株式市場は好調で、上海A株指数は2006年8月の1500後半からずっと上昇トレンドで4300ポイントまで上昇してきた。
ニュースなどを見ると、バブルの懸念論調はあっちこっち出てきた。
政府もバブル懸念と過剰流動性懸念により、準備率を段階的に切り上げしてきた。
2006年7月5日 7.5%->8%
2006年8月15日 8%->8.5%
2006年11月15日 8.5%->9%
2007年1月15日 9%->9.5%
2007年2月25日 9.5%->10%
金利も切り上げし続けてきた。
2007年5月19日に、5年以上の長期貸し出し金利を7.2%まで引き上げた。
それにしても、株式市場は上昇し続けている。
そして、2007年5月28日に、上海証券取引所と深セン証券取引所の口座数合計は1億を突破した。
口座数の急増をイメージするため、以下の統計があった。
2004年2月に7000万口座
2007年1月に8000万口座
2007年4月に9000万口座
2007年5月に1億口座突破
市場は過熱しすぎたのではないかと、2007年5月31日に政府は直接取引印紙税を0.1%から0.3%まで一気に3倍引き上げた。

どうも、世の中は中国株式市場の上昇に批判的な論調が強いようです。

なぜ、そんなに上昇しているのか?
中国経済は好調している、人民元はだんだん高くなっている。。。
それにしても、金融政策では準備率と金利も切り上げし続けているのに、
資本市場に入るマネーの増加はそれだけではないだろう。
不動産市場のマネーは株式市場へ流入した説もありますが。。。

私は外部のマネー、つまり、海外の資金流入が大きいのではないかと推測します。
(調査する時間がないので、これからは単なる推測です)
近年、中国は国内資本市場を開放する政策を実施しつづけていて、
人民元高圧力もあり、様々の原因で、海外の資金を中国へ流入していると推測します。
且つ、政策上、実際も流入しやすくなっています。

そう言っても、海外資金の流入は悪いこととは全然考えていないです。
アメリカ経済は中東の石油マネーで駆動しているとずっと思っているし。
なので、個人的に、むしろ、良いことだと思っています。
そのため、別に、株式市場が上昇しているから、バブル懸念で、怖いから、わざわざ税金引き上げなどの政策を一所懸命打ち出して、株価を抑える必要がないと考えます。

逆に、どうやって、この資金、この上昇・拡張、を利用して、
消化して、より一層経済成長させることを考えるべきだと思います。

個人的に、これはチャンスだと思います。
証券会社はこのチャンスを捕まって、どんどん新規上場を促進し、
または新株の発行を促進して、企業の事業拡大させるべきだと考えます。
または、事業会社もこの上昇した株、そして、増えた資本を使って、買収を行っても良いと考える。
買収を通じて、技術力の向上を図って、国際競争力を向上していくべきだと考えます。

それにより、更なる高成長を続けたら良いじゃないかと考えています。

昔、大学で日本のバブルの形成と経験を研究しようとしていた。
そのとき、思っていたのは、
バブルって、崩壊ではなくて、より一層経済成長の方向へ導きすれば、
「バブル」と呼ばなくなって、かなり良い意味の言葉になるのだろう。

以上は個人的な推測です、データを調査してないです。
誰かの実証研究のテーマにもなれるかなあ。

2007年05月29日

財務指標

1.EBITインタレストカバレッジレシオ(利益と支払利息の倍数)
=支払利息と税金を支払う前の、継続的な営業活動からの利益
÷資本からの利息と利子所得を差し引く前のグロスの支払利息

2.EBITDAインタレストカバレッジレシオ(現金インタレストカバレッジ)
=支払利息と税金と減価償却費を支払う前の、継続的な営業活動からの利益
÷資本からの利息と利子所得を差し引く前のグロスの支払利息

3.総負債キャッシュフロー比率
=(継続的な営業活動からの利益+減価償却費+未払所得税+その他の非現金勘定)
÷(長期負債+1年内返済の長期負債+コマーシャルペーパー+その他の短期借り入れ)

2007年04月19日

中国第一四半期GDP発表

中国第1四半期のGDPが発表されました。
GDP:50287億元
前年同期の11.1%も増加しました。
増加スピードは前年同期より0.7bp多いです。

2007年03月29日

オプションによるリスクヘッジ1法

オプションを用いて、リスクをヘッジする方法がいっぱいあります。
少ない資金で高い利益を得る(高い資金効率を得る)ために、レバレッジをかけるのが一般的です。
レバレッジをかけると、リスクも高くなります。そのため、ヘッジをかけてリスクを限定できれば良いです。
例えば、資産価値(株価)が下がると予測する場合は空売りをします。ただし、予想ハズレになると、大きい損失になる可能性があります。その場合、同量のコール・オプションを買うと、損失を限定して、リスクをヘッジすることができます。
まぁ、直接プット・オプションを買うのも同じかもしれない。。。。。。
->コール・オプションの価格からプット・オプションの価格を導くことができる理由ともなるだろう。

三洋電機トップ交代後の市場心理、期待?

経営再建中の三洋電機は28日にトップ交代のニュースを発表しました。
三井住友銀行、GS、大和SMBCの銀行主導経営再建の中で、起業者と銀行(投資家)の矛盾が今回のトップ交代で解消することをマーケットに期待されたようで、29日の株価が形成されました。
SanyoChart.gif

ポスト円キャリー

今日は円キャリー取引後のマーケット動向について、あるレポートを読みました。
賛成する意見を持って、メモします。
2月末の世界同時株安の影響で、円キャリー取引の主な外貨運用先である海外市場への不安感が出ています。アメリカの景気減速の懸念でアメリカの利下げの可能性が出ています。
いずれ円キャリーの解消になると思います。そうすると、円が日本へ戻ることになります。
日本のインフレ圧力が強くなります。市場の中の円が増えることで、流動性も高くなります。
日本の資本市場にプラスの影響が出ます。
そして、それらの円の運用先として、インフレの影響もあるため、内需関連の不動産投資へ回す可能性が大きい。
REIT、不動産関連株(三菱地所、野村不動産、三井不動産など)は今後の注目銘柄になるだろうと思います。

2007年03月27日

ローンの計算

そろそろローンを組む年齢になってきました。
以前、ローンの計算について学んだはずですが、深く考えたことはないです。
せっかくなので、私が思ったローンの計算法をまとめてみました。
ローンというものは、今(現在)支払わなければならない金額があって、それを銀行などの金融機関から借入れて、その後(将来)、分割で返済することです。
そのため、将来分割して支払うお金の現在価値は現在の借入れ金額とequalすれば良いです。
つまり、ローンはCash FlowのPresent Valueを計算することのReverseとなります。現在価値(PV)が既知で、ニーズに合うCash Flowの設計と計算を行うことです。

将来価値と現在価値の換算式は以下となります。
現在価値(PV)=割引率・将来価値=exp(-金利(r)・期間(T))・将来価値;
一般的に、金利は年率で表示されます。分割は月単位が多いため、r/12で月利で計算する場合が多いです。期間の単位に応じて、割り算で自由に金利の調整ができます。

以上のことを使って、自分なりにローンの計算ができます。
実際にどのくらいの金利が取られることも自分で計算することができます。

今度、計算のアプリを作ってみます。(ネットでいっぱいあるけど。。。)

2007年03月23日

Stress Test Guideline by Derivative Policy Group, 1995

多少古い情報ですが、
1.イールドカーブの±100bpのパラレルシフト
2.イールドカーブの±25bpのねじれ
3.株価指数の±10%の変動
4.通貨の±6%の変動
5.ボラティリティの±20%の変動

主なRisk Measure

1. VaR (Value-at-Risk):
Description
2. IVaR (Incremental VaR)
IVaR(A)=(資産Aを含むポートフォリオのVaR)-(資産Aを含まないポートフォリオのVaR)
3. DVaR (Delta VaR)
4. CVaR (Conditional VaR)
5. EVaR
... ...

2007年03月09日

S&P500 Futures

Months: March, June, September, December
Terms: Less then 2 Years
notional value: Stock Index * $250

2007年03月08日

よく知らせているクレジット・デリバティブ

1. Credit Default Swap (CDS)
2. Digital Default Swap (DDS)
3. Equity Default Swap (EDS)
4. Basket Default Swap
First-to-Default Swap (FtD)
Second-to-Default Swap (StD)
Nth-to-Default Swap
... ...
5. Total Return Swap (TRS)
6. Credit Spread Forward
7. Credit Spread Call Option
8. Credit Spread Put Option
9. Asset Swap (Strictly, This is not credit derivatives)
10. Credit-Linked Note (CLN)
11. Collateralized Debt Obligation (CDO)

2007年03月07日

【転載】債券及び金利先物取引の解説

はじめに:

先物取引とは、ある資産(「原資産」とよび債券、金利、株式指数、為替、商品等があります)を、現在取り決めた価格で、将来のある時点に受渡すことを約束する取引です。同様の取引に先渡し(フォワード)取引がありますが、先物取引は取引所に上場された取引である一方、フォワードは個別に当事者間で相対契約される取引です。従って、先物取引には先渡し取引のようなカウンターパーティーリスク(相対取引において相手方が取引義務を履行しないリスク)がありません。


本稿では、債券及び金利先物取引の仕組みを、特に日本の商品を例として解説するとともに、先物取引が債券運用の戦略構築においてどのように用いられているかを紹介します。

債券先物取引の概要

日本では、中期国債先物(償還期限5年、クーポンレート3%)、長期国債先物(償還期限10年、クーポンレート6%)が東京証券取引所に上場、取引されています注1。ただしこれらは実際に発行されている国債そのものではなく、あくまで架空の債券を対象とした債券先物であり、「標準物」と呼ばれます。


また、先物取引における受渡し期日を「限月(げんげつ)」と呼び、3月、6月、9月、12月の限月があります。3月の限月の先物は「3月限(ぎり)」と呼びます。それぞれの限月の20日が受渡日となります。

注1:超長期国債先物(償還期限20年、クーポンレート6%)は平成14年12月限月以降、新たな限月取引を休止。


先物取引の決済の仕方には、①受渡方式と、②差金決済方式があります。

①受渡方式

実際に先物の期日に現物債券を受渡す取引で、それぞれの限月の先物に対して、受渡しに使うことのできる「適格銘柄」の国債が指定されています。中期国債先物では「残存4年以上5年3ヶ月未満の5年利付国債」、長期国債先物取引の場合、「残存7年以上11年未満の10年利付国債」が受渡し銘柄の条件に指定されています。適格銘柄となる現物債券は通常複数存在しますが、それらの価格は必ずしも同一ではないため、それぞれの転換比率(conversion factor)が設定されています。受渡銘柄は債券を受渡す側(先物の売り手)が決めることができます(delivery option)が、そのうち最も売り手側に有利な条件となる銘柄を「最割安銘柄」ないし「CTD(Cheapest To Deliver)」と呼びます。最割安銘柄とは、すなわち、「先物価格×(受渡銘柄の)交換比率-(受渡銘柄の)現物市場価格」が最大となる銘柄を指します。


(図1)7月1日に9月限の先物を買い建てる場合

②差金決済方式

差金決済は、先物取引と期日までに反対売買を行って、その差益(損)分のみ決済する方式です。

例えば、2006年9月限月の長期国債先物を7月1日に100円で額面1億円分注2買い建てた後、仮に8月1日時点でこの国債先物が100円10銭に上昇していたとすれば、これを売却して決済することで、差益10万円 <(100円10銭-100円)× 1億円÷100=10万円>を得ることができます。逆に、先物を売り建てた後、当該先物価格が下落すれば、これを買い戻して決済することで差益を得ることができます。

注2: 東証の売買単位は額面1億円、また額面100円について1銭です。


(図2)7月1日に9月限の先物を買い建て、8月1日に反対売買を行う場合

債券先物の理論価格


債券先物の理論価格は、現物債券保有との裁定収益機会がない状態という前提に基づいて、以下のように定義することができます。


債券先物価格 = 現物債券価格 -(クーポン収入-資金調達コスト)


例えば、短期金利が年率2%、債券クーポンレートが年率3%のとき、現物債券価格100円(額面も100円とする)に対する1年先決済の先物の理論価格は100-100×(0.03-0.02)で99円となります。

仮に先物価格が101であれば、投資家は、現時点で先物を売却する一方、上記短期金利で資金調達をして現物債券を購入すれば、1年後に2円(101-100+3-2=2)の益を得ることができます。

逆に、先物価格が97であれば、投資家は現時点で先物を買い、現物債券を売却(空売り)して上記短期金利で貸出(運用)すれば、1年後にやはり2円(100-3+2-97=2)の益を得ることができます。


なお、上記式において、「クーポン収入-資金調達コスト」を「キャリー(carry)コスト」とよび、現物債券価格と先物価格の差を「ベーシス(basis)」と呼びます。先物の受渡し期日が近づくにつれ、現物と先物の価格差は収斂するはずですので、ベーシスは最終的にはゼロに近づいていくと言えます。


ベーシス=現物価格-先物価格


このベーシス注3の幅の変化にかける取引を「ベーシス取引」と言います。

仮にある時点におけるベーシスが、投資家が適正と考える水準よりも大きく(すなわち現物が先物に比べ割高)、いずれベーシスは適正水準まで縮小すると考える場合、投資家は現物債券を売却すると同時に先物を購入するポジションを構築すれば、将来実際にベーシスが縮小した場合、利益を得ることができます。反対に、ベーシスが拡大する(すなわち先物が現物に比べ割高)と考えるとき、現物債券を購入し先物を売却するポジションを構築すれば、実際にベーシスが拡大した場合、利益を得ることができます。

注3: 厳密には、実際の先物受渡時には交換比率が存在するため、ベーシス=現物価格-先物価格×交換比率、となります。

債券運用における先物取引の利用法


(1)現物債券のヘッジ

現物の国債を保有している投資家は、同時に先物を売り建てることで、仮に現物国債の相場が下落した場合に損失をある程度回避することができます。これを「売りヘッジ」と呼びます。逆に、「買いヘッジ」とは、今後現物国債の購入を予定している場合、現時点で先物を買い建てておくことで、現物国債の購入までの相場上昇に対するヘッジ効果をもたせることができます。


(2)現物債券の代替保有

国債先物を保有することで、同年限の現物国債と同様の金利リスクをとることができることから、先物は資産運用において現物国債保有の代替手段として利用することができます。特に、先物は上記に挙げたような価格下落に対するヘッジ手段としてのニーズが高いことから現物債券に対して割安となることがあるため、PIMCOでは先物のほうが現物債券よりも割安と判断すれば、現物債券の代わりに先物を保有し、アクティブ運用の超過収益源泉の獲得を狙う戦略とすることもあります。


(3)上記以外の投資手法

先物の理論価格およびベーシス取引の欄において触れたように、投資家が、先物実勢価格が理論価格からの一時的な乖離しているとみるとき、現物と先物の売買を組み合わせて(すなわち、割高とみる方を売却し割安な方を購入して)利益獲得をねらう取引を行うことができます。こうした投資収益獲得のための取引には、上記のようにベーシスの拡大・縮小といった方向性にかけるもののほか、限月間スプレッドにかけるものもあります。限月間スプレッド取引とは、例えば10年標準物先物で、3月限月と6月限月の価格差(スプレッド)の方向性にかける取引です。


更に、先物はレバレッジをかけるためのツールとして利用することもできます。先物取引はあくまで将来の期日における取引を約束したものであるため、先物取引を約定したとしても、現時点において決済資金は必要としません。投資家は先物の額面に対して通常数%の証拠金を差し入れるのみで約定ができます。ここで、先物で国債の金利エクスポージャーをとりながら、手元に残った資金を別の現物債券あるいは株式など他の資産にも投資すれば、元手資金額面以上のエクスポージャーをとっていくこと、すなわちレバレッジをかけることが可能です。


なお、レバレッジをかけることにより、投資エクスポージャーが拡大し、損益の程度が大きくなるため、先物取引即ち投機的取引と考えられやすい傾向があります。しかしながら、先物取引は、レバレッジを回避するような適切なリスク・コントロールのもとで利用することにより、ポートフォリオ全体のリスク・リターン特性を向上させる重要なツールとなります。

因みに、PIMCOでは、先物などデリバティブのネットエクスポージャー注4について、かかるエクスポージャー相当の現金同等資産(CP等のデュレーション1年以下の債券)を担保資産として保有することでレバレッジを回避することを一般的な運用スタイルとしています。先物の利用にあたっては、そのポジション、エクスポージャーを確実に把握し、管理、運用する能力が必要となります。注5

注4:ロングとショートの差。先物であれば買建て額と売建て額の差。

注5:PIMCOでは、お客様のご希望があれば、レバレッジをかける運用もご相談に応じます。

金利先物の概要及び利用法

金利先物取引とは、現時点において、将来のある一定の日から始まる金利レートを約定する取引です。日本では、東京金融先物取引所にユーロ円3ヶ月金利先物が上場されており、「2006年9月限」であれば、2006年9月にスタートする3ヶ月物円金利(TIBOR)を取引します。


金利先物価格は「100-金利(%、年率)」と表示されています。従って、金利が上昇すれば金利先物の価格は下落、逆に金利が低下すれば金利先物の価格も上昇します。


運用者が、3ヶ月物金利について今後低下すると考える場合、金利先物を買い建て、予想通りに金利が低下すれば金利先物の価格は上昇しますので、反対売買(売り建て)を行って、利益を得ることができます。なお、金利先物では受渡し決済は行われず、反対売買または最終取引日における清算値での差金決済を行います。

(図3)金利低下を見込んで金利先物を買建てる場合


このように金利と債券価格の動きは表裏一体の関係にあります。すなわち、金利が上昇するとき、債券価格は下落し、金利が低下するとき、債券価格は上昇します。従って、金利先物は、債券運用において、債券と同様に金利の動きに対する戦略を構築するためのツールとなりえます。注6

注6:PIMCOでは、お客様ガイドラインにおいて許容されている場合のみ、利用いたします。

将来の価格予測指標としての活用

債券・金利先物市場は既に非常に流動性の高い成熟した市場となっており、先物価格には先物市場参加者による将来の債券価格(すなわち金利水準)予測値が織り込まれていることから、先物は市場による予測値を反映する指標としても重要な役割を果たしています。

以下のグラフは2006年7月19日時点のユーロ円3ヶ月金利先物とスポット3ヶ月金利の差(スプレッド)を示していますが、これは、市場が今後の日銀による金融政策をどのように織り込んでいるかをみるための一つの指標となります。例えば、2006年12月限のユーロ円3ヶ月金利先物とスポット3ヶ月金利の差は約20bps程度となっており、市場が再利上げをある程度織り込んだ水準で金利の取引を行っていることが窺えます。


(図4)ユーロ円3ヶ月金利先物とスポット3ヶ月金利のスプレッド

まとめ

以上のように、今日、先物取引は債券運用において非常に有効なツールとなっています。先物取引を利用することにより、現物債券価格のヘッジを行うことができるほか、現物と先物間での価格の歪みをとらえ、収益獲得を狙うことも可能となります。また現物債券の代替として、運用者が狙ったエクスポージャーを先物でとることを可能にします。更に、市場が織り込む将来価格についての指標としても先物は重要な役割を果たしています。


参考資料:

東京証券取引所ホームページ

東京金融先物取引所ホームページ

日本証券アナリスト協会編 「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」

原稿へのリンク